入江 裕司(IRIE Yuji)

2025年4Q集中期間に開講された産学公連携PBLプログラム(京都企業・団体)では、人文学部 2名、芸術学部 2名 、デザイン学部1名の計5名の学生が株式会社アイリーさんにお世話になりました。京都市左京区岩倉で「さかばら米」を発信する「京都岩倉さかばらブランディングプロジェクト」に関与し、学生目線で地域活性化案や商品企画案を行いました。今回は、アイリーの入江さんに、学生との取り組みやその想いについてお伺いしました。
“さかばら”の自然が育てた、美味しいお米
京都・岩倉の中でも特に寒暖差が激しく、雪深く、水のきれいな地域――それが「坂原(さかばら)」です。この自然豊かな土地は、お米作りにとって最高の環境。そんなさかばらで育ったお米の美味しさを、もっと多くの方に知ってほしいという想いから、「京都岩倉さかばら産きぬひかり」として商品化しました。
私は岩倉で生まれ育ち、子どもの頃から田んぼや畑に慣れ親しみ、自然とともに過ごしてきました。社会人になってからは、仕事のストレス解消に農作業に関わるようになり、改めて自然のありがたさや土に触れる心地よさを感じるようになりました。
しかし今、地域では高齢化や後継者不足が進み、農家の人手不足はますます深刻になっています。
そうした現状の中で、「このさかばらのお米を絶やしたくない」という想いが強くなり、約4-5年前、商品化を決意しました。ありがたいことに、百貨店で新米を販売できるようになり、地域の皆さんにも喜んでいただいています。
絹のように白く、もちもちとした食感、そしてほんのりとした甘み――それが「さかばら米」です。このお米を通じて、岩倉の自然や農のある暮らしの魅力が、もっとたくさんの人に広がっていけば嬉しい。そんな気持ちで、これからも活動を続けていきます。
今後は、ボランティアや有志の方々と共に、休耕地が無くなるような取り組みも広げていきたいと考えています。

学生との取り組み
社会実践力育成プログラムさんから産学連携のお話をいただいたときは、とても面白いお話だと思いました。京都精華大学さんは同じ岩倉地域の大学さんですし、地域活性を目的としている私たちにとっては願ってもない話です。精華大学の学生さんは販売ツールも作れるし、売り場にも立てる。これは社会に出た時にとても役に立つスキルです。
最近は大学で学ぶマニュアルと、社会とのギャップが激しくなってきています。それを経験して、凹む、という経験はとても大切なことだと、私は考えています。褒めるだけではなく社会経験のある大人が、そんなに簡単じゃないよ、と教えてあげないと、逆に学生さんが苦しい思いをしてしまう。昔は当たり前だった“下積み”という言葉を聞かなくなってきた昨今だからこそ、現場を経験することが重要だと思います。
お米と学生を“繋ぐ”
今回は、参加した学生さんそれぞれがやりたいことを決めました。てっきりみんなデザイン系のことをやるのかな、と思っていたら企画とか考えてくれる子もいて、嬉しい驚きでした。また、さかばら産きぬひかりの米ぬかエキスを使ったハンドクリームの企画提案や市場調査などを行なってくれた学生もいました。この商品は硬くなった角質をやわらげ、米ぬかの力でしっとり保湿し、お肌に潤いを与える、上品なラベンダー調のリラックスできる香りのするハンドクリームです。
また、プライスカードやレシピなどを作ってくれた学生は、それらを商品と共にデパートの店頭に置きました。作ったものが実際に並ぶ、といった経験はとても貴重なものだと思うので、ぜひ就活で役に立ててくれたらいいな、と思います。
人と人を繋ぎながら、どんどん地域を活性化させ、発展させていき、それを見てさらに興味を持った人が我々の活動に参加してくれる、といった循環をこれからも作っていきたいと思っていますので、学生さんにもそんな活動の一端を知っていただけて、とても良かったです。

