大溝 範子(OMIZO Noriko)
デザイン学部 ビジュアルデザイン学科 デジタルクリエイションコース
ゲーム制作で培う「企画力」
企業でゲーム開発をしてきた経歴を持つ大溝先生は、デジタルクリエイションコースで、ビジュアル表現を中心にゲーム制作の授業を担当している。
2年生では企画力を身につけるため、学生達はまずカードを使ったボートゲームの商品企画をします。世の中のニーズに合ったコンセプトを考えることから始め、企画に沿ってチームで試作を繰り返し、自分達で遊んでゲーム性を確かめながら進める。その中で特に優秀だった作品は実際に商品として制作し、イベントや購買部で販売されるのだとか。「今の学生たちはネット世代で、直接人と親しくなるのが少し難しい世代。授業を通して、対面でも楽しみながら自然に親しくなれるようなツールが作れたらいいな、と思います」。
3年生になると、今まで学んできた3Dモデリングやプログラミングの知識を駆使し、VRゲームの制作に取り掛かる。「企画がVRに合っているかを考えることは大切で、例えば3D空間上では距離感が掴みにくいため、シビアな操作を求められるゲーム性だと難しかったりします。ゲーム内容については作りながらみんなで意見を出し合います」。卒業後は、職業や趣味としてゲーム制作を続ける学生はもちろん、VRゲーム専門のゲーム会社を起業した卒業生もいるのだとか。大溝先生のもとでゲーム制作を学ぶことは、大きな将来への一歩につながることは間違いないだろう。
おおらかな国、タイ
大溝先生は社会実践力育成プログラムにて、国際文化学部の堤先生とともに、海外ショートプログラム(アジア タイ)を担当されている。授業を持つまでタイに行ったことがなかったという大溝先生。授業を通して学生たちと一緒に、どんどんタイの魅力を知っていったのだそう。
精華大学と提携校である、タイ北部チェンマイにあるチェンマイ大学にて、芸術系の授業を受ける本プログラムでは、滞在期間2週間の間に伝統舞踊や伝統楽器を習得する。「古都チェンマイの歴史を学びながら、街を観光したり、寺院や歴史的遺産を実際に訪れて、現地の方に文化や歴史を説明していただいたりします。仏教信仰が今も生活に根付いた国なので、興味深い話をたくさん聞くことが出来ます」。
楽器はギターに近い「スン」と、弓で音を奏でる「サロー」を練習する。「楽器隊の中にいる、横笛の『クルイ』という楽器の音に合わせて、他の楽器がチューニングをします。絶対的な音階があるわけじゃなくて、その場で音を合わせていく感じが、タイっぽいなと感じますね」と、大溝先生は語る。旅の最終日には発表会が用意されており、2週間で習得した舞踏や楽器演奏を現地の方にお披露目するのだそう。
「タイの人はみんな優しくて、おおらかなんです。人に優しくするのが当たり前、みたいな感じで、面倒臭いことでも、私たちが喜ぶだろうと思ってやってくださる」。そんなタイ人気質に感激した学生も多いようで、帰りたくない、という声も多くあったのだとか。帰国後、次は交換留学に行きたい!と、タイ語を勉強している学生もいるのだそう。
恐れず、前に進む勇気を
世界を知り、違う文化を尊重することは大切だと、大溝先生は語る。開発途上国のイメージがあるタイだが、実際に訪れてみると、タクシーをアプリで呼び出して移動するのが当たり前だったり、コンビニやドラッグストアもたくさんあって、日本とそんなに変わらないのだとか。「日本の方が規制が厳しいぶん、タイより遅れているところもあるくらいです。実際のタイでは、伝統や文化を守りながら、生活が豊かになる最新技術をどんどん取り入れています」。
最近よく見られる傾向として、失敗をして、時間を無駄にしたくない、と考える学生たちが多い、と大溝先生。「無駄な時間自体が得難い学びになるので、体当たりしてみるといい。タイみたいな全然知らない土地に行ってみるのもいいと思います」。今回練習したスンやサローなど、もちろん参加した学生全員が弾いたことのない伝統楽器。それでもなんとかチャレンジして、失敗を繰り返しながら、発表会では無事綺麗な音色を奏でることができたのだという。「失敗を恐れず、積極性を持って、世の中のニーズを読み解きながらどんどん前へ進んでいって欲しいと思います」と、大溝先生は優しく微笑む。