KYOTO SEIKA UNIVERSITY

SOCIAL PRACTICAL SKILL DEVELOPMENT PROGRAM

日本と世界とポップ・カルチャー

安田 昌弘 (YASUDA Masahiro)

メディア表現学部 メディア表現学科 メディアコミュニケーション専攻 / 音楽表現専攻

安田 昌弘 (YASUDA Masahiro)
メディア表現学部 メディア表現学科 メディアコミュニケーション専攻 / 音楽表現専攻

大学時代、英文科で学んだ安田先生は、50年代アメリカのビート・ジェネレーションに興味を持った。自動車やテレビなど、戦後アメリカが物質的な豊かさを享受するようになると、標準的な価値や経済的物質主義を否定し、本当の人間的豊かさを探求し、表現活動を行う人たち、ビートニクが現れる。卒業後、新聞やテレビなどのメディア研究のためイギリスへ留学した先生は、今度はポピュラー音楽と人間や社会の関係を真剣に研究している先生と出会う。当時、日本ではポピュラー音楽で学術的な研究をすることなど考えられなかったこともあり、衝撃を受けた安田先生は、90年代半ばからそこで日本とフランスのピップホップを比べる研究を始めた。都市郊外出身であることをアイデンティティの源であると考え、地元をレペゼンするフランスのラップと、東京の都会を中心にレペゼンし、地元を隠す日本のラップ。同じラップなのに、国によって考え方が異なるのはどうしてなのか? 当時のそんな疑問が、先生の今に繋がるのだ。

ポピュラー音楽について講義を行う傍ら、ラップについて豊富な知識を持つ先生は、ポエトリー・リーディングのワークショップなどを行っている。韻を踏む、というある一定の決まり事があることによって、言いたいことがはっきりし、思いもよらなかったストーリーができたりするのだと、先生は微笑む。

また、ゼミではイベントをプロデュースする。毎年行っている「一乗寺フェス」では、一乗寺公園にて無料で音楽イベントを開催している(今年は10月12日(土)開催)。地元商店会の飲食店がブースを出し、近所の人たちも参加しやすいイベントだ。ゼミの学生は子どもたちと楽器を作るワークショップを準備している、また、地元に江戸時代から伝わる盆踊りのお稽古に参加して、夜の盆踊り会で踊りを披露する予定だ。そのほか、D Jが盆踊りのリズムにあった最近のポップミュージックをセレクトし、曲を知らないお年寄りはリズムで踊り、踊りを知らない若者は曲で踊るという、音楽で世代を超えた繋がりを生み出す試みも考えている。

先生が担当するShared Campusは、アジアやヨーロッパの芸大や美大を集めたプラットフォームで、様々な国から集まった学生がグループを組み、テーマを決めて、最終的に作品を作り上げる。テーマはポケモンやビリー・アイリッシュなど、世界中で知られている「ポップ・アイコン」から選ばれる。国によって解釈の違うアイコンを国籍の違う学生たちが最終的にどのようにチームとして解釈し、作品にするのか、とても興味深い。今年のテーマは「スローライフ」。最終的に香港に集い、作品を作り始めるのだとか。もちろん授業は共通して英語で行われる。英語が苦手であったとしても、会話に参加したい、という気持ちを大切にすることで英語力は上がっていく、と安田先生は微笑む。この授業の最大の目的は、世界中に友達を作ること。たくさん交流して、クリティカルな感性を養って欲しいと、先生は願う。

【Shared Campus】https://pc.kyoto-seika.ac.jp/cl/sharedcampus/

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