KYOTO SEIKA UNIVERSITY

SOCIAL PRACTICAL SKILL DEVELOPMENT PROGRAM

違いを受け入れ、活かすために

辻田 幸広 (TSUJITA Yukihiro)

マンガ学部 マンガ学科 キャラクターデザインコース

辻田 幸広 (TSUJITA Yukihiro)
マンガ学部 マンガ学科 キャラクターデザインコース

イギリスで12年間過ごし、アニメーション作家として数々の実績を持つ辻田先生。先生はアニメーションはコミュニケーションのひとつだと説明する。見ている人の意識をどこに向けるか、感情をどのように誘導するか、それら全てを設計して制作されているのだ。コミュニケーションツールとして、どの年齢を対象にした作品なのか、思想や背景、歴史を鑑みているか、何を伝えたいのか、何が必要なのかをしっかりと考える必要がある。

日本では、常識やマナーに縛られている部分も多いが、世界に通じるエンターテインメントとして、社会の中で自分のやりたい表現が、どのような意味を持つのかを考える訓練をすることが大切だ。

先生の作品のひとつである「greytown」。皆が個性を隠したグレーの街で、ひょんなことからグレーの内側にカラフルな服を着ていたことがバレた主人公だったが、実は皆がそれぞれの色を隠しており、それをきっかけに個性を表に出したカラフルな街になる。

人と違う自分のアイデンティティを見せるためには、抱えている問題や訴えたいことをどの方向に持っていきたいのか、またそこに生じるリスクまで含めて考えなくてはいけない。ある一定のボーダーの上で生きている私たちにとって、マイノリティとしてどこまではみ出すべきなのか。それを見せつけたいのか、啓蒙活動、もしくは説明がしたいのか、問題定義や提案なのか…。自分と向き合って、どうしたいのかを明確にした上で、ある程度の覚悟を持って作品として表現するべきであると、先生は語る。

「greytown」
「greytown」
「greytown」

モノを作る際には、何事も計画を立てる必要がある。何をしたいのか、それを達成するためにどのような手段を用いるのか、ゴールとして何を制作したいのか、これら3つのことを最初に考え、作りながら調整を重ねていく。その過程を経ることで、自分の考えからブロダクトの部分までモノを編むことができるのだ。

目の前のモノを作るときに、今ある最適解を用いるべきか、その最適解の再チェックから入るべきかを考えることも大切だ。同じやり方を続けているだけでは、プロセス自体が古くなっていく。新しい技術を入れることを余白と考え、自分がいる世界に閉じこもってしまわないようにしなくてはならない。

海外ショートプログラムで、イギリスでのプログラムを担当している辻田先生。イギリスではコンセプトベースにモノを作っていく。街には過去、現在、未来のコンセプトベースに作られたモノが溢れており、日本ではなかなかできない面白い体験ができる。例えばイギリスの名門演劇カンパニー、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで舞台化され、上演されている「となりのトトロ」は、日本でも馴染み深い作品であるからこそ、面白さの違いや、イギリスならではの評価などを比較でき、肌で感じることができる。同じコンテンツであっても、距離感やメディアが違うことで、見方や感じ方も大きく変わってくる。これらの体験がこれほど面白いモノだと啓蒙することが自分のミッションなのだと、辻田先生は微笑む。

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