谷口 紗南 (芸術学部 造形学科 日本画専攻4年)/吉田 蒼 (メディア表現学部 メディア表現学科 イメージ表現)/近藤 有寿 (デザイン学部 PD 学科 I D)

社会実践力育成プログラムにて2026年2Q集中(7月〜9月)に実施した「大学連携プログラム(京都大学)」(科目代表者:南了太)は、京都大学と連携を図り、最先端の技術に対してアート・デザイン・文系視点でアイディアを提案・表現する授業です。今回、この取り組みに参加した学生さんにインタビューしました。
今回のプログラムを受講したきっかけ
谷口:京都大学、という大学にとても興味がありまして、一体どんな人がいるのだろう?という好奇心から受講しました。実際、研究員の方とも友人になることができて、有意義な時間を過ごすことができました。
吉田:同級生が以前受講していて、紹介してもらったのがきっかけです。京大に行って、実際に研究の様子を見させて頂いたり、普段経験できないことができて、とても楽しかったです。
近藤:まだ私が2回生ということもあって、外部の方と関わって制作することがなかったので、いい機会だな、と思って受講しました。大学の外の方に作品を見て頂けることなんてそうそうないので、受けてよかったです。

授業を経て、何か新しい発見はありましたか?
近藤:アートにしかできないことを教えてもらいました。研究内容を他の人に伝えるときに、理解してもらうだけじゃなくてその人たちの行動そのものや考え方を変えることができるのはアートだと。
谷口:私もそれはすごいハッとしましたね。講義で聞いた、「伝える」と「伝わる」は違う、という話がとても印象的で。作品を見た人がどう変わっていくのか、それを見越した上で制作する…そのことに気付けたのは、自分の中で大きな発見でした。
吉田:今までは自分の興味のあることに対してどう表現できるか、というところに重きを置いていたんですが、今回を通して、社会に与える影響など、もっと広く対象を捉えて制作に向き合うことができるようになったと思います。

他の学部生との交流で気付きはありましたか?
谷口:近藤さんが普段の制作でロボットなんかを課題で作ったりしていて、ちょうど吉田さんが今回ロボットを制作する、と言っていたので話してみたら?って紹介したりして。専門用語がいっぱいで私はわからなかったですけど(笑)
吉田:普段電子工作はやっているものの、ロボットは作ったことがなくて。助かりました。
近藤:話していてとても面白かったですね。普段何されているかも知らなかったので。
谷口:南先生とも出会えたし、やっぱり、他学部の人と触れ合えたっていうのは財産だと思います。
制作物について教えてください
近藤:人工クモ糸を使ったディスポーザブルメイクツールです。ディスポーザブルメイクツールっていうのは使い捨てのメイク道具のことで、コスメの試供品なんかで使われるような使い捨てのチップやブラシのことです。今主に使われているプラスチック整のものじゃなくて、クモ糸由来のタンパク質繊維を使うことで、環境にやさしく分解されるような仕組みを提案した作品です。
吉田:私は今回、沼田先生の研究から「循環」という考えに着目し、それをロボットによって表現しました。人間も環境から独立した存在ではなく、環境と関わりながらその循環の中に存在していると考え、人間を抽象化したロボットを制作し、周囲の二酸化炭素を検知すると口を開き、空気を食べるような動作をする仕組みを組み込みました。ロボットが周囲の環境を受け取り、それに反応して動く姿を通して、人間と環境との循環を表現しました。
谷口:京都大学で学んだ研究の視点や、生命観みたいなのを日本画の伝統的な絵の具や紋様、表現方法と掛け合わせ、着物のデザインとして組み込んでみました。



苦労した点について教えてください
近藤:クモ糸の質感を表現しつつ、実際にメイクツールとして使えるプロダクトとしての美しさを両立させるのが難しかったです。「環境に良い素材」で終わらせずに、「また使いたい」と思ってもらえるようなデザインを作品に落とし込むのは苦労しました。
吉田:やはり技術面は苦労しました。ハードウェアとプログラムの両方を動かすのが久々だったこともあって、狙った通りの“生きている感じ”を出すための調整が一番大変でした。
谷口:普段は自分が描きたいものをただ描いていたのですが、今回のプログラムを通じて、「この絵を見た人がどう感じるか」「この研究の裏にある背景がどう伝わるか」という外への広がりをすごく意識するようになりました。作品を通して見ている人と対話できるような、そんな表現を目指すのは難しかったですが、面白かったです。
京都大学との取り組みで多くのことを吸収し、学び、作品としてアウトプットした学生たち。一見関わりのなさそうな科学と芸術が連携することで、大きな循環を生み出す第一歩としても、非常に有意義な経験になったのではないだろうか。