SOCIAL PRACTICAL SKILL DEVELOPMENT PROGRAM

アートで表現するサイエンスの世界

竹島 千景(国際文化学部 グロバールスタディーズ学科2年) / 松尾 風花(芸術学部 造形学科2年) / テイ ベン(デザイン学部 イラスト学科2年) / 呉 君彦(デザイン学部 ビジュアルデザイン学科3年) / ファン ソネ(デザイン学部 プロダクトデザイン学科3年) / 岡山 紗也(デザイン学部 イラスト学科3年)

アートで表現するサイエンスの世界

2023年度「大学連携プログラム(京都大学)」では、「学生目線で考えるSDGsやカーボンニュートラルの企画表現案」をテーマに、京都大学工学研究科沼田圭司教授と連携を図り、空気の資源化技術をアート・デザイン・文系視点で提案・表現しました。

今回は、本プログラムの魅力や学生が制作した作品について、参加者の皆さんにインタビューしました。

−−−−本プログラムを受講したきっかけは何ですか?

岡山:大学では自分の専門分野を中心に勉強してきましたが、世の中から多様な視野や個性を持った人材が求められるようになった今、他分野の人たちと関わることで自分の中で何か新しい化学反応が起こせるんじゃないかって思ったんです。これまで培ってきた知識やスキルを活かして、さらにステップアップしたいという気持ちで受講を決めました。

呉:最初は、京都大学という名前に惹かれましたね(笑)。私は普段、芸術の勉強をしているので、海外でも有名なアカデミックな大学でどんな人がどんな研究をしているのか、違った世界を覗いてみたいと思ったんです。ただ単に研究施設を見学するのではなく、自分たちのスキルを活かしてアート表現をするというプログラムの内容にも興味がありました。

竹島:今、カーボンニュートラルについては世界各国で様々な取組が行われていますが、どこの国がどんな対策を進めていて、どんな課題を抱えているのか、以前から気になっていたんです。例えば、日本には古くから「もったいない精神」が根づいていると言われますが、カーボンニュートラル社会を実現するために、私たちはどんなアクションができるかを考えてみたいと思いました。

アートで表現するサイエンスの世界

−−−−本プログラム通して学んだことや気づいたことは?

松尾:光合成生物の世界が、緑一色ではなく、真っ赤だったり紫色だったり…。私が想像していたよりずっと彩り豊かで、まるで絵の具を混ぜたようなアートに似ているなと感心しました。今まで私は水族館の魚や動物園の動物たちから作品のインスピレーションを得ることが多かったのですが、今回のプログラムに参加してアカデミックな研究の中にも芸術と結びつくような可能性が広がっていると気づきました。

ファン:脱炭素の問題は日本だけでなく、韓国でも関心が高まっています。地球温暖化が深刻化していることは知っていましたが、京都大学で行われている最先端研究に触れて、もっと多くの人にSDGsの大切さを伝えたいと思いました。カーボンニュートラルというと難しくて敬遠してしまうかもしれませんが、アートを通して誰もが身近な問題を理解できるような作品づくりをしたいなって考えるようになりました。

テイ:京都大学で受けた講義の中で、「蜘蛛の糸」を社会課題の解決に活かす研究について教えてもらったのですが、あんなに細くてすぐに切れそうなのに、実は強靭で、身の回りの工業製品やライフサイエンスの世界で応用されていることを知って、本当に驚きましたね。科学は私たちと遠く離れたものではなく、身近な存在だと感じました。今後の作品づくりのインスピレーションにもつながっています。

−−−−今回の作品づくりで表現したことは何ですか?

岡山:何よりも研究室を訪ねたときに感じたワクワク感を伝えたいと思いました。目に見えないミクロの世界の研究が、もしかすると世界を救うことになるかもしれないって、すごくロマンを感じませんか。大腸菌と聞くとネガティブなイメージを持つかもしれませんが、みんなが「私も描いてみたい!」って思えるような萌えキャラを広めてくことで、研究の魅力や価値を知ってもらえたらいいなって思っています。

ファン:植物の細胞の中にある核やミトコンドリアなどがどんな役割を果たしているのか、子ども向けに絵本で表現しました。絵を見るだけでなく、カラフルな色のフィルムを重ねてみたり、絵本を細胞と同じ六角形で作ってみたり、触って楽しめるような工夫をしました。今まで私のスキルをどんな分野に活かしていくか模索していましたが、プログラムでの作品づくりを通して、自分がやりたいことが明確になりましたね。

松尾:研究の内容を伝えるというのではなく、「自分がこう感じた!」という感動を率直に表現したいと考えたんです。植物の細胞の立場になってみれば、勝手に研究室に連れてこられて、遠心分離機でぐるぐる回されて、最後は微動だにできない試験管の隅っこにやられてしまって…(笑)。その姿がとても愛おしく思えました。この絵を描いた作者はこんな感じ方をしているんだなと、作品を通して一人でも多くの人に伝わればいいですね。

アートで表現するサイエンスの世界

−−−−本プログラムを振り返って感想は?

呉:私はポスターを作ったのですが、研究室で学んだ知識をインプットし、目に見える形でアウトプットに落とし込む作業はとても面白かったし、やりがいを感じましたね。言葉ではなく、1枚の絵で自分の思いや考えをいかに伝えるか、社会の中で必要とされるプレゼンテーションの考え方と技術を磨くことができたと思います。

竹島:国際文化学部の視点から、どうすればみんながSDGsやカーボンニュートラルに興味を持ってくれるかと考え、以前から関心があった演劇の脚本づくりにチャレンジしました。京都大学では研究者一人ひとりがプロフェッショナルとして誇りをもって研究に取り組んでいることが分かりました。私自身、今後の創作活動に刺激を受けることも多かったですね。

テイ:アートとアカデミックの融合という試みに魅力を感じましたね。 1年生のときに授業で紙芝居を作った経験を活かし、今回は微生物の不思議な働きを紙芝居で表現しました。芸術系の学生はどんな作品づくりに取り組んでいいか分からないという人もいますが、プログラムでの活動を通して自分が表現したいものが見えてきたように思います。

「大学連携プログラム(京都大学)サイエンス・アート展」特設ページ

Facebook
Twitter
Email