KYOTO SEIKA UNIVERSITY

SOCIAL PRACTICAL SKILL DEVELOPMENT PROGRAM

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プロダクトに込められた伝統の技と知恵を学ぶ

淡田 明美(AWADA Akemi)

デザイン学部 プロダクトデザイン学科 教授

淡田明美教授

京都精華大学に赴任する前は、大手自動車メーカーでカラー&マテリアルデザインを手がけていたという淡田先生。若い女性をターゲットとしたコンパクトカー開発では、パプリカカラーやオリーブカラーなど野菜をイメージした内装カラーで、毎日の買い物や子どもの送り迎えが楽しく、わくわくするような車内空間を提案し、アクティブなユーザーから大きな支持を得ました。

今や、ものづくりの現場においてCMF、すなわちColor(色彩)、Material(素材)、Finish(仕上・加工)は大切な要素となっています。冷蔵庫や炊飯器などは白物家電と呼ばれていますが、なぜ白を中心とした落ち着いたカラーが多いのでしょうか。製品のかたちだけでなく、色や質感がユーザーにどんな印象や効果を与えるか、「いろんなプロダクトに触れ、自分で体験しながら、新たな気づきにつなげてもらえたら」と話します。

デジタル化が進んだ今、紙媒体を目にする機会がどんどん少なくなっていますが、「紙の手触りやインクの香り、ページをめくる音など、五感を使って楽しめる本がなくなることはありません」と淡田先生。10 年以上前から、3 年次生の授業において、製本、つまり学生たち自身が表紙を装丁し、紙を綴じ、手作業で本を作り上げることに取り組んでいます。

本として体裁が整っていれば、本の中身は自由。特別な決まりはありません。デジタルにはない本の魅力を探求する授業です。昨年の事例では、読書しながらそのまま眠れる枕のような大きな本や、樹脂を使って表紙を鉱石のかたちに膨らませた蛇腹折りの図鑑など、学生たちの若い感性を活かした斬新な作品が出来上がりました。「プロダクトとして、手に取れる本の魅力を知ってほしい」と淡田先生。

製本作業だけでなく、パピルスの時代から続く本や印刷の歴史を学ぶほか、市内にある活版印刷工房を訪ねて、自分たちで活字を一本ずつ拾い出したり(文選)、文字を組み合わせたり(植字)、文字と文字のすき間を調整用パーツで埋め込んだりしながら、名刺サイズのオリジナル作品を完成させます。卒業制作において、レーザーでアクリル板に文字を彫り込んだ新しい活版印刷を提案する学生もいたそうで、「社会実践の学びをクリエイティブな活動に結びつける試み」と笑みをこぼします。

学生による製本作品の展示

京都精華大学では、「京都の伝統産業実習」カリキュラムを 40 年以上開講しています。毎年8、9月の夏季休暇期間を利用して実施されるもので、学生たちは京焼・清水焼や京人形、竹工芸、また越前和紙や綾部和紙、加賀友禅など京都内外の工房を訪れ、数日間から数週間にわたって伝統産業の理論と実践を学びます。留学生の参加も多いといいます。自身も母校在学中に履修した経験があると振り返る淡田先生。現在は、カリキュラム全体の統括責任者として、自らは京唐紙の唐長での実習を担当しています。

伝統産業と聞くと、特に若い世代にとっては縁遠い存在と感じてしまうかもしれません。ものづくりを学ぶだけでなく、職人さんやお客さんとどのようにコミュニケーションし、信頼を築いていくか…、「期間は限られていますが、職人さんたちと一緒にごはんを食べながら、現場の思いや熱量を肌で感じてほしい」と話します。

唐長では、江戸時代から残される 650 種類以上ある版木を使い、専門家の指導のもと、雲母(きら)や岩絵具などで色を作り、和紙を染め、一枚ずつ手刷りしていきます。複数の唐紙を美しく継いで襖などに仕立てる作業を体験し、改めて先人たちが紡いできた手技や知恵の魅力に気づく学生も少なくありません。

毎年11月には、明窓館のギャラリーで、カリキュラムに参加した全学生の作品を一堂に展示する「京都の伝統産業演習実習報告会」を開催しています。卒業後、実習先の工房に就職する学生もいるそうで、「今後はさらに実習連携先を増やし、伝統や文化の学びの幅を広げていきたいですね」と意気込みを示します。

工房で作業する人々
伝統工芸を制作する様子
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