睦月 ムンク(MUTSUKI Munku)
マンガ学部 マンガ学科 キャラクターデザインコース
絵を描くための「知識」
プロのイラストレーター、漫画家として活躍される睦月先生は京都精華大学の人文学部出身。プロとしての技術指導だけでなく、制作をするうえでのモチーフの見つけ方や、自身の興味を紐解き、アプローチする方法など、人文学部で学んだ考え方を踏まえた、作品との向き合い方も教えている。「絵のことを考え、それをどんどん成熟させていく過程の中で、ただ絵に付随している内容ばかり学ぶのではなくて、様々な分野のものに触れ、ちょっとずつ知識として蓄積ことが大切」だと睦月先生は語る。様々な知識、体験によって得たアイデアをたくさん用意することにより、デザインの中に取り込むことのできる要素が大きく変わってくるのだそうだ。
社会人として仕事をするためには、人との関わりを持つことは必要不可欠。卒業後もクリエイターとして活動していくためにも、制作の現場でアプローチできるものをできる限り学生自身の視点で収集し、考えることが必要となる。それをある程度のプロセスを経て、少し手助けをしてあげながら、みんなで考えていく、というのが睦月先生の教育スタイルだ。
京都嵯峨狂言から学ぶ
睦月先生は、社会実践力育成プログラムにて国内ショートプログラム 京都嵯峨狂言を恩師であり、国際文化学部人文学科の堤邦彦先生と一緒に担当されている。嵯峨狂言を歴史から紐解いていくのは、学生からしたら少し眠たい話かもしれないですが、と睦月先生は笑う。「きっちり学習してほしいというよりも、将来、確かそんなこと言っていたな、という記憶になればいいなと思います。社会人になって、自分たちのキャパが増えてきて、いろんな経験を積んだ時に学生時代を振り返ってみると、『あの時やった事ってここで役立つんじゃないだろうか』という経験が絶対出てくるので、そういう時に役立てばいいな、と」。
このプログラムではマンガ学部の側面として、基本無声で行われる嵯峨狂言の動きから、キャラクター性やデザイン性など、造形につながるヒントを得ることができる。「若い人たちは感性が高く、特に大学生はすごく伸び代のある時期。色々なものを見て、感性を養うのは、今後の解像度の高さにすごく影響してきます」。大学は、技術を高めることはもちろん、知識を養うこともできる場所。大いに活用してほしい、と睦月先生は語る。
大学という場所
大学は授業として学生に知識を提供する。しかし、授業で学んだことをそのままやっていても伸び代はなく、学んだものをどう応用して、どう消化するのか、が大切なポイントとなる。「各々が自分の立場をどう活かせるか、大学生のうちに気づけるかどうかが重要。与えられたものだけでなく、そこから次のステップに進んでいっている人たちはすごく伸びていって、将来的にクリエイターとしての知名度を上げていくことができる」と睦月先生。
皆最初のスタート地点は一緒で、優劣はほとんどない。そこからどれだけ鍛錬したか、見聞きをしたかが実力の差に繋がるのだという。「大学で与えられた時間っていうのはとても有意義で、その中でどれだけ物事を考えられるかどうか、は絵を描くことにも繋がってくるのかな、と思いますね」と、睦月先生は微笑む。