KYOTO SEIKA UNIVERSITY

SOCIAL PRACTICAL SKILL DEVELOPMENT PROGRAM

理想を持ち、現実を知る実践力を

恩地 典雄 (ONCHI Norio)

国際文化学部 人文学科 社会専攻教員

恩地 典雄 (ONCHI Norio)
国際文化学部 人文学科 社会専攻教員

工学部の出身で、都市計画や交通計画を専門にしていた恩地先生は、そこで生じる都市分野、環境分野の諸問題にも取り組んでいる。都市開発で生じる問題に対して、住民や市民は反対意見を訴えるが、それに対する代替案を住民側が提示できているか、と問われると、そうでは無い。国や自治体も地域の雇用や産業振興のために開発事業を行うため、否定するだけでは双方にメリットがないのだ。そこで、大学卒業後、(株)三菱総合研究所に就職した恩地先生は、企業の経営計画や事業計画の調査などを通じて、そういった問題を解決するためにはどうしたらいいか、ということを考えるスキルを身につけた。その後、京都精華大学で教員になった先生は、「理想と現実」を埋める教育を通じて、学生が社会に出ても困らないようサポートしている。「社会実践力育成プログラムは、まさにそのためのプログラムです。学部で学ぶ、デザイン力や文章力などの表現する力と、実践力で学ぶ、現実にある課題を解決するための力を併せて使うことができれば、意味のある学びだと言えるのではないかと」。

大学で学ぶ“理想”と社会に出て直面する“現実”との溝を埋めるためにまず必要なのはコミュニケーション能力だと、恩地先生は語る。現状がどうなっているかをまず把握し、それを解決するためには、なぜ問題点が生じているのか、という理由を明らかにしなくてはならない。そのためには現場と向き合い、コミュニケーションを取ることが大切なのだ。また、自身に理想があるならば、なぜその理想が大事なのか、ということを説明するためのコミュニケーション能力も必要となってくる。社会実践力育成プログラムの授業では、講義では事例としてしか教えられないこれらの能力を実技的に学んで欲しい、と恩地先生は願う。

また、社会で大きく現実の壁として立ちはだかるのは採算性だ。恩地先生はこれらの問題にも対処できる力をと、経済学や経営学、会計学や簿記の授業を開講している。「理想と現実」のギャップに悩まないためにも、これらの授業を通して、スキルを身につけるのも重要だ。

国内ショートプログラムで恩地先生が取り組んだ授業では、東北の震災の際、ボランティアとして学生を連れて行き、自助・共助が芽生えるきっかけ作りとして、現地の方と協力しながら地域の活性化を手伝った。また、学部で先生が担当している実践的な授業のひとつとして、京都市動物園にて行うフィールドワークがある。動物園の持つ、動物に関する教育や、調査・研究・保存のための環境整備のお手伝いをしたりと、動物園をフィールドとして、参加した学生がそれぞれ自分でテーマを定め、何かしらの学びを得ることができる。

これらの授業での理念や精神は社会実践力育成プログラムに引き継がれている。こういった取り組みに興味を持つ、教員や学生がトップランナー的存在として大学内で存在感を持ち、周りを引っ張っていって欲しい、と恩地先生は願う。「実践的な授業を通して、社会に出るのはこんなに楽しいし、面白いんだよ、ということを知ってもらえれば嬉しいです」。

震災からの復興の祈りを込めた五百羅漢づくり(2013年8月)
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京都市動物園「クマの遊び場づくり」-京都府植物園の倒木を利用
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