2024年2Q集中(7月~9月)に実施した「大学連携プログラム(京都大学)」(科目代表者:南了太)は、京都大学と連携を図り、最先端の技術に対してアート・デザイン・文系視点でアイディアを提案・表現する授業です。
現在、2030年までにSDGs の達成が求められています。その中でも環境問題の対応は喫緊の課題です。今回、二酸化炭素削減を目指す京都大学大学院工学研究科の沼田研究室と連携を図り、二酸化炭素の削減や空気の資源化に関するワークショップを通じて、SDGsの目標達成に寄与できる提案を行うことを目標としました。
具体的には、座学と実践(フィールドワーク・制作)を組み合わせて、最先端の科学技術の課題やニーズをきちんと把握、整理し、解決するための商品企画・アイディアを提案し、さらに大学での学びを実社会の現場に応用することでキャリア意識の向上のみならず、普段接点のない理系分野との連携も目指しました。さらに、今年度は「アート・アクティビズム」(アートを使って社会問題や環境問題の解決のために働きかける活動・キャンペーン)の視点を導入しプログラムを実施しました。
受講者は7名(4年2名、3年2名、2年3名)で、プロダクト・イラスト・テキスタイル・建築・デジタルクリエーション・イメージ表現・版画などを専攻とする様々な学生の受講がありました。
先ず、インプットの段階では、受講生は京都大学桂キャンパスへの見学をはじめ、沼田圭司先生(京都大学)からの研究紹介、児玉廉先生(issue design)から脱炭素のワークショップ、白井哲哉先生(京都大学)からELSI(ethical, legal and social issues)や研究広報について学び、1か月間普段接点のない理工系分野の知識を学ぶ機会を得ました。
また、アウトプット段階では、自身が得た科学技術の知見をもとに表現案を作成しました。
受講生からは、「日本の科学技術の発展の歴史、また現状について、異なる分野を複合させた新しい発見が求められていることを知りました。発見した事柄を産業的に応用し実用化するためには多くのプロセスが必要なこと、様々な課題を解決して初めて人々の目に触れていることについても学び、有用な知識を得られました」、「最先端の科学技術を生み出す現場に触れて、細やかな研究、実験、観察の繰り返しの中での研究者の向き合い方に興味を抱きました。やはり、技術というのは、使い方一つで良いものにも悪いものにもなる、だから私は、よりフラットな視点で向き合うことが必要だと、このプログラムを通して感じました」、「学部の授業だけでは絶対に触れられないような分野に触れ、大変興味深い学びを得ることができました。主に文字が無く色彩や造形で視覚的効果をもたらす分野を学ぶ中で、科学や技術の分野はとても新鮮であり、どのように融合させ表現に昇華するか悩みましたが、最終的に自分の納得のいく形に近いものができたと感じております」など、学部専門教育ではできないことや、連携をしたからこそ身につけられた視点が多くありました。
本学は「表現で世界を変える大学」をうたっています。今回は京都大学と京都精華大学が連携し「アート・アクティビズム」の観点から科学技術に対して、様々な表現案を作成した点で新しい取組となったのではないかと思います。
(文責:南了太)
参考:大学連携プログラム(京都大学)サイエンス・アート展
https://jissen.kyoto-seika.ac.jp/top/home/science-and-art-exhibition/