KYOTO SEIKA UNIVERSITY

SOCIAL PRACTICAL SKILL DEVELOPMENT PROGRAM

多文化共生コミュニティ:アート・デザイン・多文化共生の視点から「外国人が日本で暮らすとは」を考える

当プログラム(担当教員:夏世明、南了太)は、外国人留学生及び多文化共生に関心を持つ日本人学生を対象に、外国人が日本で暮らす際に必要とされる基本的な知識、地域コミュニティとの連携、また現地行政機関による支援に関して、京都・滋賀・東京で活動する「外国人女性の会 パルヨン」と共同で実施された。具体的には、多文化共生に関する理論的知見や多文化共生における言語教育政策に関する座学に参加した後、京都市における外国人向け生活支援セミナーの運営、滋賀県国際親善協会のイベントでの運営補助、外国人女性の会パルヨン主催セミナーの運営支援や広報活動(ロゴ制作、撮影等)にも参加し、実践的な経験を積んだ。

外国人女性の会パルヨン代表理事であるニーナ先生は、多文化共生コミュニティの理論と実践について、ご自身の経験や、外国人女性の会パルヨンが取り組んできた具体的な事例を交えて講義を行った。講義の中で特に印象的だったのはフィンランド赤十字のガイドブックに基づく文化変容の図示であり、これは多文化共生における課題を考察する上での重要な枠組みとなった。

 関西大学大学院の丸谷充伸先生は、「ことばの教育」の視点から多文化共生コミュニティにおける政策と現実のギャップに焦点を当てて講義を行った。講義の中で、特に多言語対応と「やさしい日本語」の重要性が強調された。これは東北大地震やCOVID-19のような災害時だけでなく、日常生活においても非常に重要であり、意識する必要があるとのご指摘が印象的だった。

なお、本プログラム終了後、残念ながら能登半島地震が発生した。震災地の自治体や報道機関により多言語対応が実施されている。今後、各地域コミュニティでは多言語対応と同時に、「やさしい日本語」による対応も一層求められるであろう。

外国人女性の会パルヨンの防犯教室セミナー運営(京都東山いきいき市民活動センター)

滋賀県国際親善協会主催クリスマスイベント開催協力(グリーティングカード作成)

滋賀県国際親善協会主催クリスマスイベント開催協力(グリーティングカード)

滋賀県国際親善協会主催クリスマスイベント開催協力(ヒンメリ製作)

  滋賀県国際親善協会主催クリスマスイベント参加者(新聞記事報道:https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1158603#google_vignette

外国人女性の会パルヨンのロゴやキャッチフレーズなどについての打合せ

外国人女性の会パルヨンパンフレット用のイラスト制作

外国人女性の会パルヨンの多言語パンフレット(日本語、英語、中国語、韓国語、ベトナム語)

 「外国人が日本で暮らすとは」というテーマのもと、非営利活動法人「外国人女性の会パルヨン」と共に実施された当プログラムには、日本、中国大陸、韓国、台湾、ベトナムといった多様な出身地を持つ学生が参加した。近年、日本において外国人移民(国連経済社会局の定義による)が増加しており、外国人住民がいない地域コミュニティを見つけることがむしろ困難な現状にあるといえよう。さまざまな課題が世界各地の移民国家で発生している中、多文化コミュニティにおける共生を実現するには、外国人住民だけでなく地域住民の理解と協力が不可欠である。

本プログラムでは、日本における多文化共生コミュニティの現状や基礎知識を学び、実地でのフィールドワークを通じて学生たちはチームを組み、新たな解決策を提示した。このプログラムが多文化共生コミュニティへの理解を深めるきっかけとなり、当事者意識を持ちつつ、今後も理解の拡大に努めていただければ幸いである。

【文責:夏】

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