KYOTO SEIKA UNIVERSITY

SOCIAL PRACTICAL SKILL DEVELOPMENT PROGRAM

マンガで繋がる日本とアフリカ

ユー スギョン (Yoo Sookyung)

マンガ学部 共通教員

ユー スギョン (Yoo Sookyung)
マンガ学部 共通教員

フランス語圏アフリカとバンド・デシネ

マンガ学部の教員でありながら、国際マンガ研究センターに所属し、京都国際マンガミュージアムにてイベントや展覧会の企画などに携わるユー先生。3年ほど前からアフリカのマンガに興味を持ち、現在マンガミュージアムで開催中の「アフリカマンガ展-Comics in Francophone Africa-」を企画した。

研究対象はフランス語圏のアフリカ。ヨーロッパのフランス語圏で有名なのはフランス、ベルギーが挙げられるが、その2国はマンガ文化が栄えているのだという。日本の「MANGA」が日本以外で一番消費されているのはフランスで、MANGAが人気なのはさる事ながら、フランスやベルギー等で昔から存在する“バンド・デシネ”(フランス語におけるマンガの総称)がある。無論、植民地であったアフリカ諸国にもその文化は流れていき、今でもフランス語を通じてMANGAやバンド・デシネは根強い人気があるのだそうだ。

日本のマンガは娯楽として読まれ、値段もそれほど高くなく量産される一方で、バンド・デシネは「第9の芸術」と呼ばれている。一般的なバンド・デシネのアルバム(単行本)はA4ほどの大きさで、ハードカバー、フルカラー。ページ数もそこまで多くはない。まるで画集のように、1ページ1ページをじっくりと読んでいく。日本でも有名な「タンタンの冒険」や「スマーフ」はバンド・デシネだ。

アフリカマンガ展

アフリカの「マンガ」文化

マンガミュージアムで開催中の「アフリカマンガ展」では、たくさんのアフリカのマンガが展示されている。「アフリカでは2000年以降マンガ家さんが少しずつ増えています。日本ではあまり知られていないことですので、この展示を機会にぜひ作品を見ていただければ、と。また、日本スタイルのマンガの影響を強く受け、描かれた作品も展示しています」とユー先生。アフリカのマンガに触れることで、アフリカ人の日常を主人公視点に立って知ることができ、また、遠く離れたアフリカでもマンガを通して日本文化を身近に感じてもらっていることがわかる。

アフリカのマンガは90年代くらいまではバンド・デシネの影響が色濃かったが、その後は日本のマンガの影響も受けている。また、現在では様々なマンガスタイルの混ざった、ハイブリットなスタイルのマンガが増えているのだという。このようにマンガ文化が盛んであるということは、経済的・社会的に安定しており、かつ検閲が厳しくないことともつながっている部分がある。今、アフリカでは経済だけでなく文化も成長しているのだ。「この展示を通して、アフリカにもマンガがあることを知ってもらい、マンガを読むことで日本とアフリカの距離がもっと縮まればいいな、と思います」と、ユー先生は微笑む。

マンガのワークショップ
マンガのワークショップ

マンガワークショップでの交流

ユー先生はたくさんの国でマンガのワークショップを行っている。社会実践力育成プログラムでも訪れたセネガルでのワークショップでは、2日間の開催で、50~60人ほどの人々が参加したのだという。「マンガのワークシートを配り、日本から持ってきたペンやインクで集中線やツヤベタなどの表現を描いてもらいました。皆さんとても丁寧に取り組んでくださいました」。フランス語圏アフリカといっても、全員がフランス語を話せるとは限らない。国と地域によっては、フランス語で教育を行う学校に行くことができず、読み書きができない人が少なくない場合もある。誰でもマンガやバンド・デシネを自由に読めるわけではないのだ。日本では当たり前のことであっても、少し世界に目を向けてみれば全く違う世界が広がっている。アフリカのマンガに触れることで、広い視野を持つことにも繋がるだろう。「いつか、機会があれば英語圏のアフリカのマンガについても研究したいですね」と意気込むユー先生。マンガミュージアムでまだ見ぬアフリカのマンガに触れることができるのが、今から楽しみだ。

【アフリカマンガ展】

【海外ショートプログラム セネガル】

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