SOCIAL PRACTICAL SKILL DEVELOPMENT PROGRAM

人生を変えたデジタルアートとの出会い

朝日 塁治(ASAHI Ruiji)

デザイン学部 建築学科 建築コース 4年生

朝日 塁治(ASAHI Ruiji)

幼少の頃、脳梗塞を発症し、車いすでの生活を余儀なくされた朝日さん。自己開拓型プログラムの参加をきっかけにデジタルアートと出会い、メタバースの世界で新たな夢の実現に向かって挑戦を続けています。

−−−−京都精華大学を選んだ理由は何ですか?

子どもの頃は、周りの目が気になって、外に出るのが嫌な時期もありましたね。でも、母親がポジティブな人で、僕が京都精華大学に行くと決めたときも、最後は頑張れって背中を押してくれました。住み慣れた東京を離れて一人暮らしができるのかとか、両親の心配は大きかったと思いますが、僕も言い出したら聞かない性格なので、理解してくれたのだと思います。

京都精華大学を選んだのは、いろんな学部があって、いろんな個性の人たちが交わっている…、そんなダイバーシティの雰囲気が自分に合っていると思ったから。もともとユニバーサルデザインに関心を持っていたのですが、建築学科の葉山勉先生のブログを読んで、建築というツールを通して子どもたちや障がいのある人に寄り添えるような社会を実現できるんじゃないかと考えました。

−−−−本プログラムを受講したきっかけは?

他の人のように模型を作ったりするのはなかなか難しいのですが、デジタルアートなら自分のスキルや個性が生かせるんじゃないかと思いました。NFT(非代替性トークン)という新しい概念にも興味を惹かれましたね。半年間ほどのプログラム期間でしたが、建築の授業では教えてもらえないゲーミングソフトの知識なども得ることができました。京都精華大学以外からもたくさんの学生が参加していて、マンガとアートを融合したり、僕は東京タワーに五重の塔をつけて、未来の風刺画のような作品を作りました。自分の固定概念をひっくり返すようなプレゼンを聞いて、障がいがあるとかないとかなんて関係なく、コンテンツ一つでこの世界の概念を変えられるんだって思いました。

僕が東京にいたとき、建物が壊され空地になった場所に何が建っていたのか思い出せなかったことがありました。いつも見慣れている景色だったはずなのに。都市開発で大切な思い出や記憶がどんどんと忘れ去られていく…。本当にそれでいいのだろうか? その一方で、大学でまちづくりの授業を受けたとき、京都には高さ制限や景観の条例があるのを初めて知りました。じゃあ、東京と京都の違いは何だろう? デジタルの世界に3Dモデルを作って、その“間”にあるものを表現したいなって思ったんです。

−−−−苦労したことなどはありますか?

今ある自分の技術を生かして、どうやって自分のクリエイティブな部分をアウトプットできるかということに悩みました。大学での学びのほかにも、いろんな建築物や映画、動物園や水族館の生きもの、身の回りにある自然などを観察して、形や考えを頭の中で想像し、一つずつ表現していく方法を自分なりに積み重ねていきました。

メタバースの世界は自由で、例えば京都のまちの真ん中に東京タワーを持ってくることだって可能です。ルールがないところが面白いなって思いますね。僕は、メタバース空間の中に、高さ制限とかいろんな制約から解放された独自の京都のまちなみを作ろうと思っています。たくさんの人がアクセスして、オリジナルの建物を作って、それを世界中のバイヤーさんが売ったり買ったり、また作ったりすることで、新しいコミュニティや経済効果が生み出せるのではないでしょうか。

−−−−将来の目標を教えてください

将来の目標は、建築家になること。子どものときから、世界の有名建築家たちの作品に魅せられてきました。葉山先生がおっしゃっていたのですが、建築家って建物を作るだけではなくて、クリエイターという意味もあるんです。現実の世界では、僕は実際に工事現場に行くことは難しいのですが、メタバースやデジタルアート、XRなどを含めて、その時代のいろんな技術や考え方を使って建築の価値を世の中に発信していきたいと思いますね。

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